社会運動 No.417 2015年3月発売号(品切)

定価:本体700円+税
2015年3月17日書店発売

A5版変型並製 144頁
ISBN978-4-900997-54-7
ブックデザイン:鈴木一誌デザイン事務所

希望の仕組みを提示し、協同と平和を目指して運動する、新隔月刊誌(奇数月中旬発売)
 
No.417 内容

【総力特集】
韓国に学ぼう──市民の底力がつくる互助の社会

2014年に起こったセウォル号事件の衝撃は韓国の社会経済のあり方を根底から問い直すものだった。この事件を契機に、協同組合基本法施行後に立ち上がった多様な協同組合が、中央政府と官僚制と大資本の支配構造に対抗して、いま韓国の政治経済社会の仕組みを草の根から変えようとしている。弱者、貧しき者たち、下層市民を中心とするこの運動は、新自由主義下での貧困格差問題に真正面から向き合って、世界に共通する現在の生政治的局面の最先端を照射している。また、苦闘する協同組合の百花繚乱状況の具体的紹介、ソウルと光州の市長をはじめ、朴裕河など注目の研究者・運動家が総結集し、韓国社会の実相を知る必読書となっている。ミクロポリティクスから編み直す、新しい政治社会構築への韓国の取組。今まで知られることのなかったこの運動を、総力取材によって先進事例として大々的に紹介する。反韓本溢れる昨今、今こそ読んでいただきたいアクチュアルな内容です。

1 セウォル号事件後の市民運動の新地平──エリートモデルから下層ガバナンスへ 金翼漢(キム・イッカン)
2 協同組合都市ソウル──東アジアを変える試み 朴元淳(パク・ウォンスン)
3 住民が主体となるマウルの暮らし──国家公共性からマウル公共性へ 柳昌馥(ユ・チャンボク)
4 市民・民主運動の再度の活発化を──若い世代の多様な組織化と運動の継承 安珍傑(アン・ジンゴル)
5 社会運動も楽しくなければいけない──ひとりデモを始めた心模様 金義城(キム・ウィソン)
6 自助・共助してつくる新しい公共領域──下からの市民運動が必要な時代 趙韓惠淨(チョ・ハン・へジョン)
7 韓国の女性運動の現在地──法制度改革の達成から、身の回りの権力構造の改革へ 朴奉貞淑(パク・ボン・ジョンスク)

〈光州型社会的経済〉
8 「民主・人権・平和」の実質化を続ける光州──民主化運動の経験と社会的経済 尹壯鉉(ユン・ジャンヒョン)
9 社会的経済にとって光州ほどの適地はない──数を増やすよりも理念・価値観の共有を 朴湘夏(パク・サンハ)
10 人権・民主主義・平和を深める社会づくり──社会的経済を革命的に構築する政策 徐政勲(ソ・ジョンフン)
11 一緒に楽しい生を送る自治的な老人福祉館──高齢者主体で地域住民を巻き込む協同組合 姜渭遠(カン・ウィウォン)
12 世界の多彩な協同組合4 韓国代行運転協同組合 崔瑜娜(チェ・ユナ)
13 韓国協同組合の事例その1 旅行の社会的企業 グッドトラベル 羅孝雨(ナ・ヒョウ)
14 韓国協同組合の事例その2 言論協同組合プレシアン 田洪起惠(チョン・ホン・ギヘ)
15 包摂の対象から主体へ──貧困地域における住民の挑戦 桔川純子
16 内外の連帯と協力の枠組みで新しい次元へ──韓国社会的経済と国際社会的経済フォーラム 李鉉淑(イ・ヒョンスク)
17 「帝国」構造と韓日ナショナリズム・ジェンダー 朴裕河(パク・ユハ)

コラム
韓国の寄付文化と「美しい財団」
参与連帯
双龍自動者争議
韓国女性民友会
光州事件
協同組合基本法
女の自由を映す韓流 北原みのり

連載 NAMを語る[最終回]──資本主義の終りと戦争 柄谷行人
連載 女性作家たちの声[第4回]私の体は私のもの[その1] ろくでなし子
連載 商品たちの素姓[第4回]消臭・除菌剤は必要か? 中野寿ゞ子
連載 メディア遊動日記[第3回]ジャーナリストの責任と評価 青木理
連載 「外圧に抗する快感」を生きる社会[その2]空虚極まりない安倍晋三話法 太田昌国

編集後記、次号予告