2015年4月24日書店発売

伊地智啓=著
上野昂志・木村建哉=編

相米慎二を育てた男が、日本映画の半世紀を語り尽くす。
荒野のごとき映画界を駆け抜けよ! 裕次郎全盛の日活に入社、ロマンポルノへの路線変更を機に助監督からプロデューサーへと転進し、数々の話題作の企画を経て、出会ったのは相米慎二だった──。プロデューサー業の真髄と本懐とは何か。日本映画史を彩った監督とスターの、いま明かされる秘話満載。
【特別収録】盟友プロデューサー対談=黒澤満+伊地智啓

〈本書の登場人物〉
石原裕次郎、吉永小百合、舛田利雄、鈴木清順、蔵原惟繕、浦山桐郎、今村昌平、澤田幸弘、藤田敏八、西村昭五郎、小沼勝、曽根中生、田中登、加藤彰、白川和子、中川梨絵、片桐夕子、三井マリア、黒澤満、松田優作、村川透、長谷川和彦、村上龍、相米慎二、薬師丸ひろ子、丸山昇一、角川春樹、永瀬正敏、斉藤由貴、澤井信一郎、田畑智子、三國連太郎、田中陽造、中島丈博、奥寺佐渡子、中井英夫、李相日、宮藤官九郎、佐藤隆太、佐々木蔵之介……


目次

プロデューサーなかりせば──伊地智啓の仕事 上野昂志

第1章 助監督室って無頼の館──日活助監督時代
 試験、合格、即現場
 助監督の役割
 所長室という中心
 吉永さんと同期です
 監督十人十色
 撮影のローテーション
 スターたち、観客たち
 六〇年代の変容
 助監督が書く脚本
 幻の「伊地智啓監督」
 裕次郎ではなく蛾次郎
 松竹という「隣の芝生」
 「日活労働組合」結成の後先
 堀社長と撮影所
 ダイニチ映配からロマンポルノへ

第2章 大胆不敵、試行錯誤──日活ロマンポルノ時代
 ロマンポルノの企画会議
 悩む監督、悩まぬ監督
 ロマンポルノ第一作の評価
 路線転換の受け止め方
 『濡れた荒野を走れ』前史
 警視庁と11PM
 日本映画の転換期
 ロマンポルノの作家性と商業性
 起承転結を外す
 ロマンポルノの成熟──『わたしのSEX白書 絶頂度』
 女優探しはピンク映画からストリップ小屋まで
 女優たち
 『東京エマニエル夫人』のヒットとロマンポルノの限界
 その後のロマンポルノと日活
 日活退社

第3章 別天地から吹いてくる風──キティ・フィルムへ
 今村昌平の溜息、黒澤満の誘い
 とにかく優作だけ──『最も危険な遊戯』
 音楽屋の新しい風──キティレコードの映画界参入
 原作者が撮る──『限りなく透明に近いブルー』
 廃墟──『太陽を盗んだ男』
 そこにドブネズミがいた

第4章 あいつの見えない船に乗って──相米慎二、最初の三本
 幸運な流れ──『翔んだカップル』
 薬師丸ひろ子との初対面
 『翔んだカップル』の二つのヴァージョン
 まったく同じリテイク
 相米演出の秘密の部分
 嬉々として一人ひとり
 みんな平気
 うちの団地の赤川さん──『セーラー服と機関銃』始動
 キャスティングの妙
 プロデューサーという規準
 子供たちの群れを見ながら
 『ションベン・ライダー』はロードムーヴィー?
 あんなずるいヤツいない
 子役三人組の天職
 破格の映画へのダイビング
 キャメラと芝居
 四時間半を一一八分に
 相米の嬉しそうな顔

第5章 映画にはない肌触り──一九八〇年代、マンガとテレビと
 角川春樹の登場
 異業種の参入と幻の撮影所構想
 ポップと言われても──マンガを映画に
 毎週毎週二字熟語
 外国ミステリーを換骨奪胎し──二時間ドラマの脚本
 テレビと映画を並走し
 テレビ局の映画進出・前夜

第6章 相米、夏に雪を撮るぞ──『雪の断章 情熱』と『光る女』
 マグロ、台風、ロマンポルノ
 いざ東宝撮影所へ──『雪の断章 情熱』
 ヒロインと二人の男
 醜いアヒルの子の物語
 悔恨──『光る女』
 相米とアクション
 消えた雪の北海道

第7章 花盛りの時代の心許なさ──アルゴ・プロジェクトの頃
 アルゴ・プロジェクト始末
 監督をデビューさせること
 現場での決断力
 本物か偽物か、偶然を必然に──撮影所の言葉

第8章 あいつは命賭けてたようなところがあった──『お引越し』と『夏の庭 The Friends』
 脚本が二〇稿、三〇稿と──『お引越し』
 レンコを探せ
 湖の畔から夜の森へ
 カンヌの相米慎二
 型破りの製作体制
 子供たちと庭──『夏の庭 The Friends』
 脚本をめぐる攻防
 最後の仕事?

第9章 時代の変わり目に居合わせて──ケイファクトリーへ
 才能が動き始める現場──『居酒屋ゆうれい』
 キティ・フィルムからケイファクトリーへ
 芸能事務所社長として
 BSドラマに携わる
 三十余年越しの『虚無への供物』
 一九五四/一九九七──『薔薇の殺意』の宛先
 幻の「伊地智啓フィルモグラフィ」
 流れる理由さまざま
 『半島を出よ』、予算一二億円
 見当も付かない脚本──『69 sixty nine』

第10章 おまえの「生命力」に共鳴するうちに──エピローグ
 弔辞
 「生命力」
 相米慎二の行き場所
 幻の相米映画
 青春の墓碑銘
 撮れるなら撮ってみろ
 脚本とプロデューサー
 人を見極め、時代を見つめる

対談 盟友プロデューサー、すべての始まり 黒澤満・伊地智啓
 大阪での接点
 俳優部長と助監督として
 社内が騒然としてきた
 ロマンポルノ事始
 ゴジはイッチがやんなきゃ
 セントラル・アーツ旗揚げ
 テレビで保たれたつながり
 映画の現場は今

編者後記 木村建哉

伊地智啓フィルモグラフィ
索引