柄谷行人 著

『世界史の構造』刊行以降の思想の深化を踏まえ、3・11大震災、原発事故により新たに直面した状況に対応して、いち早く著者自身によって読み返された『世界史の構造』とその後の思考の展開。大澤真幸、苅部直、岡崎乾二郎、奥泉光、佐藤優、島田雅彦、高澤秀次、山口二郎らとの、『世界史の構造』をめぐる徹底討議七本を併録した、著者自身による『世界史の構造』リーダーであると同時に、脱原発闘争に方向性を与えるアクチュアルな指針が提示されています。「震災後に読む『世界史の構造』」(書き下ろし150枚)収録。

 

私は本を出版した後、それに関してこんなに多くの談話をした経験がない。自著について語るのはいつも億劫であった。しかし、『世界史の構造』の場合はちがっている。多くの依頼があり、私もそれを進んで引き受けた。その理由の一つは、私自身に話したい気持ちがあったからだ。『世界史の構造』では、全体の構成上のバランスをとるために、思索していた多くの事柄を省略するほかなかったのである。だから、私はそこでは十分に論じられなかったことを、座談や講演において語ろうとした。その意味で、本書は『世界史の構造』を補完するものである。[あとがきより]


目次

『世界史の構造』梗概

第I部

震災後に読む『世界史の構造』
I 神の国
II 哲学の起源
III アジールと災害ユートピア
IV 自然と人間
1 人間と自然の交換関係
2 エコノミーとエコロジー
3 マルクスとクラウジウス
4 グローバリゼーションと環境理論
V 帝国主義と新自由主義
1 帝国
2 ネーション
3 ファシズム
4 資本の専制
5 足尾銅山鉱毒事件

第II部

未来について話をしよう(苅部直との討議)
資本主義の終り、アソシエーショニズムの始まり(大澤真幸、岡崎乾二郎との討議)
生産点闘争から消費者運動へ(高澤秀次、絓秀実との討議)
交換様式論の射程(奥泉光、島田雅彦との討議)
遊動の自由が平等をもたらす(大澤真幸、苅部直、島田裕巳、高澤秀次との討議)
協同組合と宇野経済学(佐藤優との討議)
イソノミア、あるいは民主主義の更新(山口二郎との討議)