『六月声明』
文書12



《報告6》





「報告6」(7月24日発信):

「共同署名者」の皆さん、

 7月19日発信の「経過報告(5)」以後の活動報告をいたします。

(1)7月21日討論集会報告(坂元ひろ子):

「国旗・国歌の法制化を問う:国家の<公>から、議論する<公共性>へ」の報告

 遺憾ながら7月22日、「日の丸・君が代法制化」法案が衆議院本会議で可決されました。マスコミ各社による世論調査結果ともかけ離れた賛成403対反対86という結果の大差自体、議会という政治システムの機能不全を如実に示しているといってよいでしょう。

 なにがしかの専門人、学生、市民、あるいは内外に生活する人間として、私たちはこの法制化に反対するという一点において7月21日午後6時30分から議員会館横の星陵会館に結集しました。そして普段はなじみのないその場で法制化反対の衆参両院の国会議員や学会や団体、他の法制化反対声明を担ってきた人々と交流しつつ、準備段階でのさまざまな困難を乗り越えて討論集会を行いました。

 当日は夕方になって非情に思えるほどの激しい雨、例によっての中央線のストップによる影響で出足が危ぶまれ、実際、予定をはるかに遅れて到着した発言予定者もでてハラハラさせられました。それでも遠くは北海道からも大勢かけつけ、国会議員も20名ほど参加、「強気にも」といっていた五百人収容の会場が大体埋まるくらいにまでなりました。NHK7時のニュースでご覧になられた方も多いかと思います。いくつかの新聞でも報じられました。

 この集会は短時間に少人数で準備されたために不十分な点も多かったのも事実ですし、結果的には衆議院での実際の阻止には遠く力は及びませんでした。とはいえ、残された参議院での議決にいくらかでも影響を与え、私たちのなかにまでともするとしのびこむシニシズムをおしのけ、なんとか粘り強く思考し、語る場を開いていく決意をあらたにしえたと思います。この憂うべき閉塞状況のなかに、燎原の可能性をもつ「星火」が雷雨にも耐えて存在しえたことの証明はできたと自負しています。

 

 集会は本橋哲也(都立大)が司会をし、6時半から9時すぎまでまで二部構成で進められました。

第一部:各大学、団体のリレートーク

 まず、東京大学・東京都立大学・東京外語大学・大学数学者の会・独協大学・東北六大学・一橋大学・東京工業大学、琉球大等の教員や学生から、ついで「高島教科書裁判」世話人、日教組、北海道教祖、歴史学研究会、出版人等から、各大学や団体でのでの取り組みや意見表明が1時間ほどなされました。敬意を表すべき長年の闘争者、忙しいなかをやりくりしてきている壮年教師・職業人ら、そして生きのいい学生等の「老中青」の数少ない交流の機会でもありました。またシンポジウムのパネリストの三人以外にも民主党・社民党・共産党の国会議員約20名の参加がありました。

第二部:学者と国会議員のシンポジウム「閉塞的政治状況における抵抗の在り方」国会議員から桜井充参議院議員(民主党)、辻元清美衆議院議員(社民党)、児玉健次衆議院議員(共産党)、学者の側から坂元ひろ子(中国近現代思想)・小森陽一(日本近代文学)・鵜飼哲(フランス現代思想)がパネリストとなって、法案をめぐるシンポジウムを行いました。

 いまここで詳しい内容に立ち入る用意はありませんが、桜井議員は民主党という厳しい環境において市民不在の政治から市民主役の政治にむけての「国民投票」法案提出を準備中で、そうした立場からの発言があり、辻元委員からは国会での興味深いやりとりが紹介され、議会民主制の危機という問題が強くだされ、前の世代よりは次の世代に決定させよ、という訴えがありました。児玉議員からは新しい国旗・国歌を制定しようという共産党の立場が表明されました。

 そうした発言からはじまった討論のなかでは、興味深いことに、国会で質問されて東大総長時代に君が代・日の丸を用いることはなかったと答えた有馬文部大臣は、その理由を聞かれると、留学生が多くいるという点をあげ、さらに、ならば日本にも在日外国人が多くいるではないかと問いつめられると、窮して答えようとしない、といった場面もあった(辻元議員の話から)ことも知らされました。議論なき議会、そうした報道をしないマスメディアの問題がよく分かります。日本に多いアジアからの留学生や在日の日本籍をもたない大勢の人々と共生するためにも、たとえ国民に定着しつつあったとしても、侵略の歴史を看過したまま「日の丸・君が代」を法制化することは政府の唱える「国際化」の観点からでさえも認められるものではない、同時に「国民」という場合も、「日本人」、それも成年以上の世代に回収すべきでないのではないかといった論点がだされました。また、最後の抵抗の手段として提起されるにせよ、フランスの経験でも「国民投票」は諸刃の剣で、独裁者が議会無視のためにしばしば利用するものでもあったし、憲法改正等の問題も見据えたうえで、その問題点をよく考慮すべきだという指摘もありました。

 

 ほぼ終了予定時間に達してしまってから、作家の奥泉光さんが「未来に向けてよりは過去のほうから」法案反対を表明され、島田雅彦さんの寄せたメッセージを小森陽一が代読、のこりわずかな時間で、山口二郎が厳しい情勢をふまえた政治学者として分析を、「6月声明」の呼びかけ人として西谷修と石田英敬が集会開催の経緯ならびに過小でも過大でもない評価が与えられるべきこの運動についてのコメントを述べ、東大大学院の大高さんが読み上げた「7月21日討論集会アピール」を採択しました。

 

 呼びかけに応じて駆けつけて下さったみなさん、お手伝いしてくださった多くの方々に心から感謝いたします。

 なお、今福さんのご厚意で提供されているホームページのカフェ・クレオールに西谷修が早々に記したホットで個性的な《7月21日討論集会、私的報告》がのっています。(以上 報告者 坂元ひろ子)

(2)「国旗・国歌の法制化を問う! 国家の〈公〉から、議論する〈公共性〉へ」

   7月21日討論集会  アピール(起草者 岩崎稔)(ここでは省略)

(3)「サイト」の開設:

 すでにご案内いたしましたように、共同署名者の今福龍太さんの主宰するcafecreole

のフォーラムarchiepalgo

http://www.cafecreole.net/homeless/archipelago/log.html

での自由な意見交換の場の提供に続きまして、共同署名者のインスクリプトの丸山哲郎さんのご協力で、「六月共同声明」の文書を提示するサイトが開設されました

http://www.inscript.co.jp/objection/ob%20index.htm

共同声明文、趣意書、共同署名者名簿、「報告」など、一連の関連文書がここに順次アップロードされる予定です。

 みなさんの活用をお願いします。

(4)「共同署名者」最新リスト:

 現在までで集計がすんでいる署名者は700名をはるかに超え800名に近づきつつあります。かなり長くながくなりますが、以下にそのリストをご報告いたします。次回以後はこのリストの公表は、上記www.inscript.co.jp/objectionのサイトにて行い、e-mailでの通知は今回限りとさせていただきます。大学院生の皆さんの協力により集計を続けていますが、なにしろ煩瑣な作業のために重複や誤りもあると思います。お気づきの点はフィードバックしてください。

共同署名者名簿(ここでは省略)

(5)今後の予定

 衆議院本会議での大差による可決によって事態はいよいよ厳しくなってきました。一両日中に緊急に世話人会を開いていま何ができるのかどのように世論を喚起しつづけるのか、今後の方向を出していきたいと考えています。

                       以上、報告とりまとめは、石田英敬。

                           



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