すでにカンヌ国際映画祭パルムドール、ゴールデン・グローブ外国語映画賞を受賞しているミヒャエル・ハネケ監督「愛、アムール」に主演したエマニュエル・リヴァがアカデミー賞にノミネートされています。噂では最有力候補とか。この作品は作品賞、監督賞、脚本賞、外国語映画賞各部門でもノミネート(外国語映画賞受賞)。

いま85歳の彼女が1958年、アラン・レネ╱マルグリット・デュラスの名作「ヒロシマ・モナムール」(邦題「二四時間の情事」)での広島ロケの際に、復興間もない広島の人と風景を撮って評判を呼んだ写真集が『HIROSHIMA 1958』です。

その『HIROSHIMA 1958』でのエマニュエル・リヴァの写真をパリで再発見した港千尋氏による書き下ろし『愛の小さな歴史』。1958年に広島で撮影され長くリヴァの自宅に眠っていた写真の発見から2008年の来日の経緯を縦糸に、「ヒロシマ・モナムール」をめぐる映像論、写真と記憶をめぐる思考を拡げつつ、「死」への眼差しを通して二十世紀の知の最深部に到達するスリリングな思考が綴られています。